夏目漱石『草枕』

その山手線車内で今朝読了。「智に働けば角が立つ」で有名な冒頭の文章をちゃんと読んでみたら、本当にいい文章だった。主人公が歩きながら考え事をしていて右足を踏みそこなうまでの冒頭2頁は、ことあるごとに読み返してみようと思う。中盤はかなり読みにくい感じもしたが、那美さんの思わせぶりな、ときに妖艶ですらあるような雰囲気とか、自然の描きかた(後半のサボテンの描写とか)などもなかなか面白い。汽車に象徴される近代のあやうさを表現した「あぶない、あぶない。」というフレーズは、別の作品の台詞「滅びるね。」と地続きなのだろう。「滅びるね」は『坊っちゃん』だったっけ。